天皇陛下がお言葉を発せられた昨年の8月8日の時点では、これで安倍首相の改憲の目論見は難しくなったと報じられたものだ。
退位問題には皇室典範の改正という一大事業が不可避であり、とても安倍内閣一代限りで出来るものではない、憲法改正どころの話ではない、と報じられたものだ。
だからあのお言葉は、天皇陛下が発した安倍首相の手では改憲させないという究極の勅令ではないかとさえ言われた。
ところが、あっさりと一代限りの退位特例法が成立してしまった。
いくら安倍首相が周到に手配した結果であるとはいえ、こんなにうまく行くとは思わなかったと、安倍首相も大喜びをしているに違いない。
退位特例法のめどが立った頃合いをみはからって、安倍首相が自衛隊合憲改正のビデオメッセージを流したのは実に象徴的である。
これで今上天皇は来年末には退位される事がほぼ確実になった。
安倍改憲阻止の最大の重しが除かれたのだ。
このままでは間違いなく憲法9条は安倍首相の手で変えられる。
なぜこんなことになってしまったのか。
私はその最大の責任者は民進党の野田幹事長にあると思っている。
保守・右翼の野田幹事長の関心は、改憲阻止より天皇制の存続にある。
皇室典範による退位を要求したまではよかったが、天皇退位を遅らせてはいけないという世論に迎合して自民党の妥協案に妥協し、最後は、みずから要求した女性宮家創設を自民党が飲んだことで、あっさり賛成した。
安倍首相の思う壺にまんまと乗ったというべきか、あるいは初めから天皇退位問題では安倍首相と気脈が通じていたということか。
いずれにしても野田民進党は安倍首相の改憲を手助けしたのである(了)
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