かつて私はメディアから聞かれて答えた。
もしマレーシアが北朝鮮の容疑者や外交官を本気で起訴、逮捕しようとしたら、北朝鮮とマレーシアの外交断絶にまで発展すると。
その覚悟がマレーシアにない限り、マレーシアの対応は腰砕けで終わると。
その通りになった。
北朝鮮の容疑者は嫌疑不十分であっさり北朝鮮に強制送還され、その後容疑者は北京の北朝鮮大使館前でマレーシアの捏造だと口を極めて非難した。
これにより金正男暗殺の真相は不明のまま終わる事になる。
私は、この結末は、これまでのマレーシアの対応が大失敗だったことの当然の帰結であると思っている。
北朝鮮が金正男を暗殺したなどと認めるはずがない。
それにもかかわらず、監視カメラの画像をふくめ、すべての調査結果をはじめからメディアに公開し、北朝鮮の犯行に間違いないと流し続けたマレーシア政府は初動対応を誤った。
マレーシアは、まず北朝鮮との極秘交渉重ね、同時に関係諸国との極秘協議を行い、着地点を見極めた上で、必要最小限の情報公開を行うべきだったのだ。
ここまで北朝鮮を悪者にし、北朝鮮を世界から孤立化させれば、行き着く先は北朝鮮のハードランディングしかない。
それが金正恩のさらなる暴走になるか、その前に米国などによる金正恩の排除になるか、それはわからないが、ハードランディングの結果は誰にとっても破滅的だ。
それを知っているからこそ、中国はその対応に慎重を期してきた。
それは金正恩のためでも北朝鮮のためでもなく自国のためだ。
北朝鮮に対して圧倒的に軍事力や政治力で優っている中国でさえ、慎重に対応せざるを得ない北朝鮮であるのに、北朝鮮に勝てるはずがないマレーシアが、世界の目の前で北朝鮮と敵対し続けることはいつまでも続くものではない。
おそらくマレーシアは北朝鮮にマレーシア攻撃も辞さずと驚かされ、あるいは中国の圧力がかかって、これ以上この問題を抱え込むことは出来なかったに違いない。
残ったのは北朝鮮に対する国際世論の悪化と強硬論である。
ますます北朝鮮問題の解決は難しくなる。
私がマレーシアの対応を批判するゆえんである(了)
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