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「誰がハマーショルドを殺したか」の日本上映が問いかけるもの

 きょう7月24日の毎日新聞で小倉孝保論説委員が教えてくれた(金言)

 ドキュメンタリー映画「誰がハマーショルドを殺したか」が先日日本で封切られたと。

 こんな映画がつくられていた事を私は全く知らなかったのだが、デンマーク人のマッツ・ブリュガー監督(48)が昨年製作し、サンダンス映画祭で監督賞を受賞した作品だという。

 ハマーショルドといえば国連の第二代事務総長であるスウェーデンの外交官だった人物(筆者註:初代事務総長はノルウェーの元外務大臣トリグブ・リー)であり、1961年9月に「コンゴ動乱」調停のため現地に向かう途中、乗っていた飛行機が墜落し、同僚らと共に帰らぬ人となった人物である。

 ブリュガー監督はこの映画の製作動機を次のように語っている。

 「私は暗殺を疑っています。ハマーショルドは植民地主義に反対し、新しい国々を独立させようと理想を追求しました。そのために彼が殺害されたのなら、全人類がその死に関心を持つべきだと思ったのです」と。

 ブリュガー監督はスウェーデン人の調査員とともに、墜落現場で機体の残骸を探し、南アフリカで秘密組織メンバーらを訪ね歩いて新事実を浮かび上がらせているという。

 小倉論説委員はそのコラムを次のように締めくくっている。

 民族や国家が自らの運命を自分たちで決める事の難しい時代が(確かに)あった、と。

 墜落の謎をそのまま残している限り、そうした不正義に決着をつけたいとは言えないと。

 「冷戦期の謎」を通し映画が突きつけるのは、現在の世界の姿なのだ、と。

 国連総会は昨年暮れ、墜落原因の調査活動を拡大するよう求める決議を採択した。(だが)大国の思惑も絡み、調査は進んでいない、と。

 この映画の日本上映は、まことに時宜を得たものだと思う。

 これからの国際政治は大国と、その他大勢の国連加盟国の戦いになるのではないか。

 いや、そうでなくてはいけない。

 本当の意味で戦後の国際政治が民主化されなければいけないのだ。

 国連改革は安保理常任理事会の強化・拡充などではなく、総会決議が安保理決議よりも上位に来る改革となるべきなのだ。

 すべては、常任理事国の中で唯一の被植民地国である中国の正しい出方にかかっている。

 中国が本当の意味で、弱小国の立場を代弁する国になるか、なれるか、にかかっている。

 中国もまた正念場にあるのである(了)

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