昨年(2019年)2月27日に開かれた第二回米朝首脳会談は、私の予想を見事に裏切って完全決裂に終わった。
その結果について私は2019年3月1日のメルマガ第158号で書いた.。
見事に予想が外れたと。
しかし、これは交渉決裂ではなく、トランプによる一方的な交渉中断なのだと。
中断せざるを得なかった理由は、交渉が始まったそのタイミングでワシントンでロシア疑惑に関するコーエン弁護士の議会証言が始まったからだと。
コーエン弁護士の証言の内容如何では民主党の激しい追及でトランプ大統領は弾劾に追いこまれかねない。
そうなればいくら合意をしても何の意味もなくなる。
それに下手に中途半端な合意をすれば民主党の攻撃対象にされる。
今回は何も合意せず、しかるべきタイミングを見て交渉を再開して合意を目指した方が得策だ。
そうトランプ大統領は考えたとしてもおかしくないと私は当時のメルマガで書いたものだ。
それから1年4カ月余りたち、ボルトンの暴露本が、私の推測の正しさを見事に証明してくれた。
きのう6月24日の毎日新聞が、暴露本でボルトンがこう回顧していると書いている。
・・・トランプ氏は、自身のロシア疑惑を巡り元腹心の弁護士が証言に立った公聴会の行方に頭がいっぱいで、側近らとの打ち合わせをキャンセル。会談の休憩中も公聴会を伝えるテレビに見入った・・・「小さな取引」をまとめるか、席を立つかのどちらかが大きなニュースになるか、側近らに尋ねた・・・
まるでその時の光景が目に浮かぶようだ。
結果的には、その時はトランプ大統領は完全非核化を主張するボルトンらの助言に従って「大きなニュース」を選び、そしてそのニュースで自分を裏切った弁護士の証言を掻き消し、弾劾を乗り切った。
そしていま、弾劾を乗り切ったトランプ大統領は、大統領再選という最大の勝負に出ている。
そして、それを邪魔するボルトンの暴露本が出て、トランプ大統領は今度こそボルトンに怒りを爆発させたはずだ。
トランプ大統領は、今後大統領選が本格化し、形成が悪いと判断したら、間違いなく電撃的に米朝首脳会談開催を発表するだろう。
そして、今度はボルトンの裏切りをかき消すだろう。
戦争野郎のお前の暴露本など、米朝首脳会談のニュースに比べれば屁みたいなものだと。
そして金正恩委員長には隠密にこう呼びかけるだろう。
あの時は弾劾に追われて中断して申し訳なかったと。
こんどこそ段階的非核化とその見返りとしての制裁解除と経済開発供与のディールをしたいと。
大統領選を勝たせてほしい。
戦争屋のボルトンは「小さな取引」と言っているが、我々にとっては大きな合意だ。
こう呼び掛けられたら金正恩は歓喜の涙で飛びつくだろう。
私が考えつくぐらいだから文在寅大統領も考えついたと見えて、韓国は米国に米朝首脳会談の橋渡しに動き始めたようだ。
だから文在寅大統領はダメだというのだ。
金正恩委員長はトランプ大統領との直取引をしたいのだ。
ただでさえ文在寅大統領の目立ちたがりを嫌っている金正恩委員長だ。
ここで文在寅大統領が、またでしゃばると、再び金正恩委員長は妹の金与正を使って留保した軍事行動を再開すると言い出しかねない。
文在寅大統領は、ここはぐっと我慢して、すべてをトランプ大統領と金正恩委員長にまかせる。
動かない方がうまくいく時もある事に気づくべきである(了)
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