トランプ弾劾の第一幕は、無罪判決を勝ち取ったトランプ大統領が完勝した。
だからといって、トランプ大統領が弾劾問題から逃げきれるかといえばそれは別問題だ。
民主党の追及は続くし、なによりも大統領選に再選されるまでは弾劾問題との戦いは続く。
しかし、少なくとも弾劾裁判はトランプ大統領の完勝に終わった。
弾劾裁判は二度とないのだ。
なぜここまで完勝できたのか。
それは、権力には逆らわないと言う米国民の国民性があると私はにらんでいる。
そう思わせる記事をきょうの各紙に見つけた。
ひとつはボルトンの沈黙だ。
きょう2月7日の朝日新聞が書いている。
民主党は引き続きボルトン氏を、今度は下院に喚問することを検討するという、と。
ホワイトハウスは暴露本から「機密情報」を削除しない限り、出版を認めないと通知したと。
しかし、この朝日の記事は、無意味な記事だ。
ボルトン氏にトランプ大統領を追いつめる覚悟があればとっくに騒いでいたはずだ。
削除は検閲だと言って、暴露本の宣伝をしていたはずだ。
弾劾裁判中に共和党議員に、自分の暴露本は真実だ、トランプ大統領は弾劾に値する、と訴えていたはずだ。
しかしボルトン氏は沈黙を守る通した。
弾劾裁判を乗り切ったトランプ大統領はますます強気だ。
そんなトランプ大統領と喧嘩して叩きのめされるようなバカな真似を、いまごろになって、いくら民主党に誘われても、ボルトン氏はしないだろう。
もう一つの記事は、東京新聞の記事だ。
共和党でただひとり、弾劾に賛成票を投じたロムニー議員に触れた後で、共和党のフレーク議員の次のような言葉を紹介している。
「無記名投票なら最低35人は大統領に有罪を宣告するだろう」と。
つまり、本当は賛成したいが、名前を明かすと不利益をこうむることになるから反対した議員が35人以上いるということだ。
この二つの記事が教えてくれること。
それは、米国人は自己保身の国民だということだ。
そしてこの事について私には強烈な思い出がある。
何度も書いて来たから、長年の読者なら知ってると思うが、私はかつてデトロイトの日本総領事をしていたことがある(1997年―2000年)。その時たまたまゴルフ雑誌で、世界のゴルファーに聞く世論調査の記事があった。その問いのひとつに、上司とプレーをしていた時、上司の不正を見たらそれを指摘するかというのがあった。
しないと答えた国は米国が断トツだった。
開発途上国ほど正義感が強く、日本は中間ぐらいだった。
米国のゴルファーの答えがふるっている。
自分にとって何の得にもならないことを誰がするのか、というものだった。
その一方で、もちろん、このゴルフのアンケートには何の関係もない、もう一つの米国の特徴がある。
それは、自分の利益が害されるとわかったら徹底的に攻撃に出るという特徴だ。
これが米国の本質だ。
トランプ大統領はそんな米国民が選んだ大統領であり、米国の大統領らしい大統領ということである(了)
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