政治決着どころか政治対決だ。
レーダー照射事件について、安倍政権はついに映像まで公表して「動かぬ証拠」を突きつけた。
すかさず韓国側が反論した。
一方的な内容の映像を公表しただけで客観的な証拠とは言えないと。
率直に言って、軍事に素人の私には、どこが「動かぬ証拠」なのかわからない。
漏れ聞こえる自衛官の声に、切羽詰まった緊張感は感じられない。
しかし、私がここで言いたいことは、この映像の評価ではない。
映像公表を命じたのは安倍首相だったと報じられている事だ。
関係悪化が固定化されることを懸念した外務省はもとより、岩屋防衛大臣も公表には慎重だったという。
それを安倍首相が無理やり公表させたのだ。
メディアがそう報じているから間違いないだろう。
関係改善どころか、抜きさしならぬ関係悪化の旗振り役は安倍首相だったというわけだ。
その一方で、安倍首相は中国の違法漁船が海上保安庁の職員を「拉致した」事件については、完全に封じ込めている。
安倍首相に忖度した大手紙は、韓国のレーダー照射事件については連日大きく報じているのに、中国漁船の違法操業と立ち入り検査官を乗せたまま逃げ続けた事件については、まったく報じようとしない。
韓国と中国に対するこの外交姿勢の違いは、実は徴用工問題についても同様なのである。
すなわち、韓国の徴用工補償問題については、日本の企業が補償に応じようとすれば、日韓請求権協定を持ち出して、邪魔をしている。
ところが、中国の徴用工については、かつて西松建設が中国人被害者と和解した時、それを容認している。
安倍首相が習近平主席の中国に配慮するのは、中国との関係を悪化させて、来年6月に予定されている習近平主席の訪日が取り止めになることを恐れるからだ。
しかし、それだけではないはずだ。
中国に敵視されればたちまち安倍外交は行き詰まるからだ。
これを要するに、トランプ大統領の米国は言うまでもなく、プーチン大統領のロシアといい、習近平主席の中国といい、軍事覇権大国には卑屈になり、併合した韓国に対しては高圧的に出る。
これが安倍外交の正体だ。
そして、それはそのまま、安倍首相の狭量な人間性を表している。
日本の首相として失格である(了)
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