総裁選は石破氏の善戦で終わった。
この程度の善戦で大騒ぎになるのは、安倍1強に対するウンザリ感が
ひろく日本全体に広がっているからだ。
そして、この程度の善戦で大騒ぎになるのは、安倍首相がなりふり構
わず圧勝を目論んだにもかかわらず、取りこぼしたからだ。
まさに安倍首相の1強に陰りが見え始めたことを見せつけた総裁選
だった。
もちろん、一番衝撃を受けたのは安倍首相本人に違いない。
だからこそ記者会見を開いて、わざわざ勝利宣言したのだ。
しかもその宣言は一方的な自画自賛に終始した。
今後三年間、さらに安倍政治を続けるとみずからを鼓舞した。
しかしその本心は、新内閣で石破氏をどう処遇するか聞かれた瞬間に
バレタ。
いきなり笑い出し、適材適所の一言でごまかした。
この異常で気味悪い笑いこそ、安倍首相の動揺をあらわしたものなの
だ。
悔しくて仕方がないのだ。
政局は流動的になる。
そこまでは、誰もが容易に想像する事だ。
そして、メディアは一斉に今後の動きについて書き始める。
そこでいつものように、誰よりも先駆けてこれからの政局を予想して
みる。
結論から言えば、何も変わらないということだ。
それどころかもっと悪くなるだろう。
安倍首相はすぐに国連総会に出席するため外遊に逃げ込む。
そこでさんざん安倍外交のパフォーマンスに明け暮れ、帰って来たら
新内閣を発表する。
その顔ぶれを見れば、安倍首相の正体がわかることになる。
私の大胆な見立てでは、ますます安倍独裁が進む。
安倍首相を支えて来た菅、麻生、二階の骨格は変わらず、そこに岸田
が加わる。
竹下派も加わるだろう。
しかし石破派の姿はない。
問題は小泉進次郎の処遇であり、この処遇こそが安倍3選後の政局を
占うポイントであるが、私は安倍内閣に取り込まれると思っている。
投票直前に石破氏に投じる事を表明した小泉進次郎だが、あれは安倍
首相に反旗を翻したのではなく、ガス抜きだ。
というよりも保身だ。
自民党が国民政党を続けるためには,今のような言論封殺状態ではい
けない。
それを訴える役は、総裁選までは石破氏だったが、その後は小泉進次
郎なのだ。
小泉進次郎が安倍内閣の一員となり国民の声を代弁し、内閣の中から
安倍一強を正していく。
そういう役割を小泉進次郎が担い、それは安倍首相の了承事項なの
だ。
野党は、自民党総裁選の事なのに、まるで自分の手柄のように安倍批
判を強めるだろう。
しかし、自民党の政局報道の影に隠れ、まったく国民に相手にされな
いだろう。
確かに3選挙後の安倍首相を待ち受けているものは難問ばかりだ。
安倍批判に事欠かない。
そして、安倍首相のウソパフォーマンスにもかかわらず、どんどん日
本は追い込まれて行く。
来年の参院選では、安倍政権は負けるかも知れない。
しかし、参院選は政権交代選挙ではなく、たとえ負けても政権交代に
はならない。
安倍降ろしの声は出ても、安倍首相は絶対にみずから辞めない。
そういう政局がだらだらと続くのだ。
唯一、政局が面白くなるのは、安倍一強に対する反発が自民党内から
起きて自民党の中から立ち上がる者が出て来る場合だ。
しかし、それが国民の心を動かすようなものになるのは、小泉進次郎
のような人物がその先頭に立つ場合しかない。
だが、私の見立てでは、小泉進次郎は動かない。
石破は動かないだろうし、たとえ動いてもどうにもならない。
要するに、何も変わらず、ますます政治状況は閉塞感が進むというこ
とだ。
こう書いていくと、反安倍にとっては耐えられない絶望的な政治状況
になるが、仕方がないのだ。
それが政治の現実であり、民主党政権の失敗のツケなのだ。
どうなるのか。どうすればいいのか。
そんなことは私にはわからない。
日本がより深刻な状況になり、国民間の分断がますます進む。
それでも日本は存続し、国民生活は続く。
権力を持ったものたちがいい思いをして政治を続ける。
だから皆、権力を持つ者たちに沈黙し、迎合する事になる。
これまでと何も変わらない状況が続く。
それを変えるには、このままではいけないと考えるまったく新しい顔
ぶれの人物が、まったく新しい政治を作り出す、そういう動きが出て来
なくてはいけないということである(了)
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