いまでこそ、誰もそのようなことを私に面と向かって言う人は少なくなったが、私が新党憲法9条を提唱し始めた時、決まって返って来る反応は、「政治は数だ。ましてや一人では何もできない」というものだった。
しかし、これこそまさしく既存の政党、政治家の枠の中でしか政治を考えられない者の言葉だ。
国会で無毛な罵り合いや乱闘に明け暮れ、最後は国会対策と称する取引で終わる歌舞伎政治を政治だと考える者たちの噴飯物の発想だ。
正しい事をその気になって実現しようとすれば、政治家はたった一人でも国政を動かす事が出来る。
政治家にはそれだけの特権があり、メディアを動かす事ができのだ。
その可能性を見事に見せてくれているのが北朝鮮への訪問を繰り返すアントニオ猪木だ。
私が、「可能性」と書き、「見せてくれた」と断言しないのは、その結果がまだ不明だからだ。
これまでのところ単なるパフォーマンスに終わっているからだ。
しかし、私がアントニオ猪木なら間違いなく安倍外交では真似のできない外交をして見せる。
ここにきて、ついに菅官房長官がアントニオ猪木に北朝鮮を訪れる事を自粛するように注意した。
それほど安倍政権の対北朝鮮外交が微妙な時期にあるということだ。
それにもかかわらずアントニオ猪木は7日、北朝鮮建国70年の祝賀行事に参加するため出発した。
政治家だから出来るのだ。
そして政治家の訪朝だからメディアが取り上げるのだ。
政治家であるから朝鮮労働党の幹部も会ってくれる。
そして、朝鮮労働党の幹部と会う事が出来れば、どんなことでも話す事が出来る。
その内容は金正恩委員長に伝わる。
まさしく安倍首相の代理人にもなれるし、安倍外交とは正反対の外交も出来るのだ。
残念ながらアントニオ猪木にはその器量はなさそうだ。
しかし有能なブレーンがいれば立派な対北朝鮮外交が出来る。
これまでは武貞 秀士(たけさだ ひでし)という、防衛研究所を経て拓殖大学の教授を務めている韓国・北朝鮮の専門家が随行していた。
彼の力を借りれば相当の事が出来るはずだ。
武貞氏は随行したのだろうか。
それとも安倍政権に忖度して渡航自粛したのだろか。
はたしてアントニオ猪木は「一人でも政治家なら国を動かす事ができる」事を証明してくれるだろうか。
私は彼に期待したい。
そして日中関係にしても、日米関係にしても、一人で国を動かす事の出来る外交が出来るような政治家がどんどんと出て来てほしい。
その時こそ、国会に閉じこもって政局にうつつを抜かす既存の政党、政治家が役立たずの税金泥棒である事が証明される時である(了)
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