共同通信が衝撃的なスクープ報道をした。
米軍が、ヘリ墜落事故の安全確保のために日本政府が派遣しようとしている自衛隊の受け入れを拒否し続けているというのだ。
とんでもない事である。
これまでの経緯をざっと振り返るとこうだ。
沖縄県では1月以来、米軍ヘリの墜落事故が相次いだ。
国民の怒りにたまりかねた安倍政権は2月に在日米軍機の運用に関して、「安全確保を最優先課題として日米で取り組む」(安倍首相)と強調して、米軍普天間飛行場への自衛官派遣を米軍に申し入れた、と胸を張った。
そころが、何と米軍がこれを拒否し続け、5月になる今でも安全点検の作業がまったく進んでいないというのだ。
自衛隊の派遣目的は、米軍によるヘリ点検整備が本当なのか、十分なのか、その確認や、検証であり、整備の技術的知見のある自衛官を2月1日に送る予定だった。
米軍はこれをいったんは容認したことになっていた。
ところが、派遣当日の2月1日に、「さらなる準備が必要になった」として延期を要求し、その後いつまでたっても「調整中」(防衛省補償課)が続いているという。
いくら防衛省が照会してもなしのつぶてだという。
防衛省幹部は「見通しは立っていない。実現は難しい」との認識を明らかにしたという。
問題は、このような自衛官の派遣が、最初から、いかさま合意だったのではないかと疑われることだ。
安倍政権が自衛隊派遣を打ち出したのは2月の名護市長選挙の直前だった。
米軍機トラブルによって自公政権推薦の候補者が不利になることを避けるため、やる気もないのに、そう言ってみただけだったのではないのかという疑惑だ。
というもの、米軍は、墜落ではなく不時着で、不時着は事故を未然に防ぐための予防措置で、自衛隊の査察を受け入れる筋合いはないと、一貫して言い張っているからだ。
安倍政権もまた知っていたはずだ。
米軍には日本の主権は及ばない。
だから自衛隊の査察など米軍が受け入れるはずがないことを。
それを知っていながら、選挙対策上、日米で取り組むと言い、そのための自衛官派遣と言ってみただけはないのか。
そのうち国民もメディアも忘れるだろうと高をくくって、できもしない事を打ち出したに違いない。
それを証拠に、自衛官の派遣が頓挫しているにも関わらず、そして安倍首相も小野寺防衛相もそれを防衛省から報告を受けているに違いないのに、動こうとしない。
それとも、あの日報と同じように、聞いていないというのだろうか。
もしそうなら、それはそれで噴飯物だ。
さらに言えばメディアも結託していると思われる。
このような大スクープを共同通信が配信したにもかかわらず、きょう5月6日の各紙は、東京新聞をのぞいて、見事にスルーしている。
この共同通信のスクープ報道を知らないはずはないというのに。
それとも大手紙はみな知っていたのに申し合わせて書こうとしなかったのかもしれない。
たまりかねて共同通信が書いて、東京新聞だけがそれにつられて書いたのかもしれない。
来週からは野党が拒否していた国会が始まるらしい。
ならば野党はこの共同通信の大スクープを追及すべきだ。
安倍政権は米軍に主権を奪われたまま抗議ひとつもしないのかと。
もしこの共同通信のスクープ記事を取り上げないなら、自公政権も野党も日米同盟問題から逃げているということだ。
もういい加減、おためごかしの政治には終止符を打つべきだ。
日米同盟最優先の政策を続ける限り、日本が米国の植民地状態にあることは、もはや誰もが知っている。
今度の米軍による自衛隊の査察拒否もそのひとつだ。
日本が米軍の植民地状態にあることを日本国民が受け入れるなら、何が起きても文句を言うべきでない。
どんなに腹立たしい事でも受け入れるしかない。
日本人の安全も生命も米軍に任せるしかない。
それが嫌なら、米軍を日本から叩き出すしかない。
どっちを選ぶか。
この国の政治は、はっきりと国民にその事を問うべき時期に来ている。
新党憲法9条はその事を政府に迫る政党である。
もちろん、憲法9条を優先し、在日米軍を日本から叩き出す事を政府に迫り、国民はそれでいいのか、どう思うかと、国民に問う政党である(了)
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