サミットが終って数日が立とうとしているのに、今でもサミットにおける安倍首相の橋渡し役を宣伝している大手紙がある。
それがきょう5月31日の読売新聞だ。
しかし、そのような安倍ヨイショ記事が、図らずも今度のサミットにおける安倍首相の醜態を見事に浮き彫りにしてくれた。
たとえば北朝鮮問題だ。
欧州各国にとって、北朝鮮情勢は決して大きな関心事項ではない。それを過去のサミットで肌で感じていた安倍首相は、今回は北朝鮮の保有しているミサイル一覧や、北極を挟んだ欧州と北朝鮮の世界地図を用意し、それを各国首脳に配って北朝鮮の脅威を煽ったと言う。
こんなことをしていたとは驚きだ。
しかし、もっと驚いたのは、北朝鮮とイランはミサイル技術開発で連携していると述べた上で、テヘランからテポドンが発射されればベルリンやパリに届くと危機感を煽ったというのだ。
とんでもない事を安倍首相はやっていたのだ。
しかし、安倍首相のとんでもない言動は、それだけではない。
サミットの初会合にトランプは遅れてきたという。
そのトランプが不在の間に、欧州各国の首脳は皆トランプに対する不満を口にしたと言う。
その不満とは、サミットに先立つNATO首脳会議でトランプがNATOの集団的自衛権を定めたNATO第5条への支持を表明しなかった事だと言う。
驚いた。トランプはもはや米国と欧州の軍事同盟関係すら否定する発言をしてたのだ。
これで、メルケル首相が欧州は独仏が中心になって自らを守らなくてはいけないと、サミット後の講演で語った理由が分かった。
ところがそんな欧州首脳に安倍首相はこう言ったという。
日米安保条約もやはり5条が重要だ。マティス(国防長官)やティラーソン(国務長官)よく話したらいいと。
そうすれば、日米同盟関係と同様に米国と欧州の同盟関係もうまく行くと言わんばかりだ。
とんでもない発言だ。
そして、トランプが遅れてやってきて、やっとサミットは始まった。
しかし、会議が始まったら、メルケルら欧州の首脳とトランプの対立は相当なものだったらしい。
トランプは他の首脳が発言している最中に、ずっと、「何を言っているんだ」などとヤジを飛ばし続けたという。
とんでもないサミットだったということだ。
読売新聞は、そんなトランプとメルケルらの激論が起きるたびに、安倍首相がトランプをなだめ、安倍首相がそういうならとトランプが大人しくなったという。
この眉唾ものの安倍ヨイショ記事がはからずも教えてくれたことは、もはや欧州とトランプの米国はことごとく対立していく、サミットの一体化が希薄になっていく事ということだ。
そして、それに並行して、中国とロシアの影響力が増していく。
それは、とりもなおさず、米国、欧州、中国、ロシアのいずれにも、いい顔をしようとする安倍首相が、最後は誰からも信用されずに孤立するという事である。
外交もまた行政だ。
人事介入で行政を自分の思う通りに歪めてしまった安倍外交の行き着く先である(了)
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