北朝鮮の国営メディアが3日、異例の中国批判を行った。
これをどう理解したらいいか。
この北朝鮮の対中批判が、果たして今後の中朝関係及び北朝鮮問題の解決に、どのように影響を与えていくのだろう。
これは極めて重要な問題だ。
結論から言えば、これは金正恩が習近平に放った強烈な反撃である。
今度の突然の中国批判を、中朝の出来レースと考えられなくもない。
つまり北朝鮮に批判されるほど中国は北朝鮮に圧力をかけている。
そうトランプの米国に伝えるための芝居ではないかという見方だ。
しかし、中朝のやり取りをみていると、北朝鮮の中国批判は本物であり、それほど北朝鮮にとって中国の圧力は脅威であるという事だと私は見る。
すなわちこれは北朝鮮の中国に対するけん制である。
しかも単なるけん制にとどまらず、危機感を伴ったけん制なのだ。
そう思って今度の中国批判を読むと、確かにその中国批判は核心をついている。
「自らと関係がない(北朝鮮の)核問題に米国に劣らない拒否感を示し、世代を超えて発展して来た朝中関係を丸ごと崩壊させている・・・」
「中国はこれ以上、我々の忍耐の限界を試そうとせずに正しい選択をすべきだ」
「誰であれ、我々の核保有路線を揺るがすことはできず、朝中友好がいくら大切なものだとしても、命同然の核と引き換えにしてまで哀願する我々ではない・・・」
もし習近平がトランプとの会談で米中関係を最優先し、北朝鮮に対する圧力を約束したとすれば、朝鮮戦争で同盟関係を結んでいる北朝鮮への裏切りである。
同胞よりも自らの保身のために米帝国主義にすり寄ったという事である。
習近平にとっては痛いところを衝かれたのだ。
それだけではない。
もし北朝鮮の核保有が本物なら、中国もまた北の核の脅威にさらされる事になる。
そしてプーチンのロシアの存在だ。
プーチンのロシアはいまでも北朝鮮の側に立っている。
中国が裏切れば、北朝鮮はプーチンを味方につければいいのだ。
中国はすかさず北朝鮮に反論している。
北朝鮮に批判されて黙っていては中国のプライドが許さないからだ。
しかし、このまま中朝の対立がエスカレートすれば困るのは中国だ。
今度の北朝鮮の対中批判は、追い込まれた金正恩が習近平に放った捨て身の反撃だが、同時にそれは痛烈な反撃である。
中国の北朝鮮への圧力は一本調子には進まないだろう。
北朝鮮はそう簡単には潰されない。
北朝鮮に対する石油輸出停止という中国の切り札は、そう簡単には切れない(了)
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