天皇退位に関する有識者会議が4月21日、最終報告書を安倍首相に提出してその作業を終えた。
きょうの各紙は一斉にその事を大きく報じているが、それを読んでも一般国民は何もわからないだろう。
あまりにも多くの事が書かれているからだ。
しかし、惑わされてはいけない。
この報告書の言わんとすることは二つだけだ。
すなわちひとつは、天皇は退位すればすべての公務を新しい天皇に任せるということ(二重権威回避)であり、二つは、退位は特例法に基づく一代限りのもの(皇室典範改正は行わない)というものだ。
これはまさしく天皇があのお言葉で訴えた事に見事に反することだ。
象徴天皇のとしての重要な公務とは、単に国事行為にとどまらず、憲法9条の精神をその行動で示す事であるという訴えは、憲法9条を否定しようとする安倍首相にとってこれ以上ない不都合なものである。
そして、天皇陛下の要望通り天皇制の変更を正面から行おうとすれば皇室典範の改正が筋である。
しかし、それを本気で行おうものなら、自らの基盤である保守からも疑義が呈せられ、まとめるまでに年数がかかる。
そんなことにかかわっていたら、改憲どころか、自分の政権でやりたいことは何もできなくなる。
だから一代限りの特例法であっさり片づけたかった。
そういう安倍首相の思惑を見事に忖度して作られたのがこの報告書なのだ。
ご丁寧に、いまや安倍首相の御用聞きのようになった宮内庁が動き出した。
報告書案の実施を万全に行うために宮内庁の組織改編が必要だと(4月22日産経)
官邸に逆らうような宮内庁ではあってはならないと言わんばかりだ。
さぞかし天皇陛下は無念だろう。
そんな天皇陛下の気持ちを代弁する勇気ある者が、ご学友の明石元紹氏とと、「生前退位をめぐる安倍首相の策謀 (宝島社新書)」を書いた東京新聞の五味洋治編集委員だけとは悲しい。
今上天皇が退位される前に何としてでも新党憲法9条を誕生させて、彼ら二人の後に続きたい(了)
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