赤間二郎総務副大臣の公務での台湾訪問について、外務省が中国政府に正式に抗議されていた事がわかった。
きょう3月28日の各紙が小さく報じている。
すなわち、中国外務省の報道官が27日の記者会見で日本に抗議したことを明らかにし、北京の日本大使館が抗議があった事を認めた。
当然だろう。
「ひとつの中国」は中国にとっての核心的利益であり、これを否定するかのようなトランプの発言に、戦争も辞さないと激しく反発し、トランプが発言を撤回せざるをえなかったほど、中国にとって認められない一大外交問題であるからだ。
私が中国の抗議で注目したのは、「台湾との間では民間や地域的な交流にとどめるとする日本側との約束があり、これに違反する行為だ」、といって中国が抗議したところだ(3月28日産経)。
これに対し北京の日本大使館は、「台湾と非政府間の実務関係を維持していく日本の立場に矛盾しない」と中国側に回答したらしい。
この中国報道官と北京の日本大使館のやり取りは、単に中国の報道官と北京の日本大使館の応酬で済まされるような軽いものではなく、岸田外相と王毅外相、いや安倍首相と習近平主席との間で白黒つけなければいけないほどの大きな問題である。
いうまでもなく、台湾の取り扱いに関する日本と中国の間の合意については、数ある日中間の基本文書の中でも最も重要なもののひとつだ。
この合意文書こそ、日本がひとつの中国を認めた時の日本の台湾政策の基本になるものだ。
この日中間の合意に関する解釈問題こそ、今度の赤間二郎総務副大臣訪問問題の核心部分なのである。
結論から先に言えば、私は安倍首相の意向を忖度した総務省が、外務官僚と周到なすり合わせをしないまま、総務省の主管である観光促進事業という公務に赤間二郎総務副大臣を出席させたと考えている。
総務省は中国が言うように日中間の政府間合意に反したのだ。
外務省や外務官僚にとっては困った事であったに違いない。
だからこそ北京の日本大使館は日中合意に違反する気はないと苦しい釈明をするしかなかったのだ。
そうではなく、もし総務省が事前に外務省に相談し、外務省がそれを許したとしたら外務省の責任は大きい。
もし外務官僚が安倍首相の意向を忖度して止められなかったら、外務官僚は情けない。
もし外務官僚が積極的にそれを承認したら驚きだ。いまの外務官僚は、安倍首相を忖度するどころか、安倍首相と一緒になって、先輩が作った日中合意をなし崩し的に違反しようとした事になる。
どっちに転んでも中国の批判に分がある。
今度の赤間二郎総務副大臣の訪台をめぐる日本政府の決定プロセスは、徹底検証されなくてはいけない(了)
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