きょうの記事の中では、何と言ってもこれが一番面白い記事だ。
11月7日の毎日新聞がスクープ報道した。
8月25日の日米首脳会談で安倍首相がトランプ大統領に約束させられた米国産トウモロコシの日本企業による購入について、その輸入申請が11月5日までゼロだということがわかったという。
なぜこれが大問題なのか。
日米首脳会談の後の記者会見でトランプ大統領はこう内外に宣言した。
「米国の至るところでトウモロコシが余っている。日本はそのトウモロコシのすべてを輸入してくれる」と。
これに対し、同席した安倍首相は次のように語った。
「害虫対策の観点から(日本企業が)購入を必要としている。緊急に購入しなければならないと民間が判断している」と。
このやり取りがなされた直後から、トウモロコシ輸入問題は将来に禍根を残すと報じられた。
ひとつは、害虫被害は深刻ではないことだ。
もうひとつは、そもそもトランプ大統領が日本に買わせたい米産トウモロコシは食糧用の実であるが、日本が必要としているトウモロコシは茎を含む飼料用トウモロコシであるからだ。
万一足らなくなっても、加工の手間がかかるため米国産トウモロコシは魅力がないのだ。
もちろん、日本政府もそれを知っている。
だからこそ、民間企業が前倒しで購入する場合は保管料の支援や購入資金の金利を優遇するなどの特別措置を講じ、民間が輸入しやすいように手を打ったのだ。
ところが、きょうの毎日新聞のスクープ報道によれば、そこまでやっても、国の支援策を申請した企業は2か月以上たった今もゼロだということがわかったという。
しかも、大手商社の担当者は「今のところ米国産を購入する必要はない」とまで話しているという。
これを知ったらトランプ大統領は激怒するに違いない。
何しろ、大統領選のために中西部の農家にアピールするためだったからだ。
そしてその大統領選が事実上始まったからだ。
そして安倍首相は約束してくれたと思い込んでいるからだ。
あの時、安倍首相は、民間企業が購入を必要としていると言って、あくまでも民間の判断だと言わんばかりに逃げ道をつくったが、すかさずトランプは言いかえした。
日本の企業は米国の企業と違って政府のいう事をよく聞く企業だと。
つまり安倍首相が民間に買わせると約束してくれたといったのだ。
毎日新聞のスクープ記事はこう結んでいる。
「・・・政府内では現在、国内に需要がない状況を米国に説明すれば『話が違う』とねじ込まれかねない(経済官庁幹部)との声も漏れており、今後の外交協議などで話題にならないように首をすくめている状況だ」と。
官僚が心配する必要はない。
トランプ大統領が安倍首相に直接文句を言ってくる。
文句を言われた安倍首相は、それでは政府が買うしかないと官僚に命令する。
官僚は黙ってそれに従えばいいだけの話だ。
すべては安倍首相の権限と責任にすればいいのだ。
あとは野党が国会の場でどう安倍首相に責任を取らせるかだ。
野党の出番がまた一つ増えたということである(了)
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