私は読者のために毎日書いている。
しかし、同時に私は安倍政権、野党、そしてメディアに向かって書いている。
彼らが私の書くことを毎朝確認している事を知っているからだ。
これから書くのも、それを意識して書くひとつである。
このところ北朝鮮が日本批判を繰り返している。
前提条件なしに首脳会談に臨むと発言した安倍首相を「厚かましい」、「面の皮が厚い」と繰り返し批判している。
私はその批判は、とりもなおさず、安倍首相に対する期待と、その期待を裏切られた失望と反発の裏返しであると見ている。
北朝鮮の安倍批判の中に頻繁に出てくる言葉が「過去の清算」を迫る言葉だ。
実は、この「過去の清算」という言葉は、安倍首相が5月6日の夜に、トランプ大統領と電話首脳会談した直後の記者会見で、みずから口にした言葉だ。
私はこの安倍首相の記者会見の言葉を聞いて、仰天し、安倍首相は本気で日朝首脳会談をする覚悟を固めたに違いないとおだて上げた。
おそらく北朝鮮もこの安倍首相の記者会見を最大限の関心を持って受け止めたはずだ。
しかし、その後の安倍首相からは、過去の清算は一切聞かれなくなった。
安倍首相をほめ殺した私は失望した。
そして私以上に失望したのは北朝鮮に違いない。
だからこそ北朝鮮は安倍批判をするのだ。
しかも「過去の清算」という言葉を執拗に使って。
安倍首相の内部で一体何が起きたのだろう。
もし安倍首相が前提条件なしの日朝首脳会談を、いまでもあの時口走った過去の清算を含め本気で考え、覚悟を示しているなら、あるいは金正恩委員長は安倍批判をすることなく日朝首脳会談に応じる反応を示したのではないか。
安倍首相があの時の言葉を違えたから、金正恩委員長は失望して安倍批判に転じたのではないのか。
ちなみにあの時、安倍首相は北朝鮮の非核化ではなく、朝鮮半島の非核化という言葉も使って私を驚かせた。
あの時と今の安倍首相の中で、何が変わったのか。
それとも安倍首相のあの時の発言は、深く考えないで思いつきで口走ったいい加減な発言だったとでもいうのか。
北朝鮮ならずとも、「どっちなんだ」と思いたくなる。
野党は、そしてメディアは、5月6日夜の安倍首相の官邸で記者たちを前に語った言葉をビデオで繰り返し再現し、安倍首相に迫るべきだと思う(了)
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