米朝首脳会談が不調に終わった事については、その後も書くことに事欠かないが、ひとまずこれで終わりにしたい。
米朝首脳会談が不調に終わった大騒動の裏で、見過ごされている大きな問題がある。
その一つがライトハイザー米通商代表が2月27日に行った米議会発言だ。
日本との貿易交渉入りを3月にも始めたいと明言した。
菅官房長官は28日の記者会見で、「いつ、どこで開催するか、具体的な調整はこれからだと聞いている」などととぼけているが、大慌てだろう。
非核化をめぐる米朝交渉は、当分凍結せざるを得なくなった。
3月1日に終わらせるはずだった米中貿易交渉も、延期に次ぐ延期で、合意のめどが立たないままだ。
そのいずれも、ロシア疑惑で弱り目のトランプの手には負えない。
いまのトランプが唯一成果をだせるのは日本との交渉だ。
当初は中国との貿易交渉を終えてから日本を攻めると言い出し、だから日本は呑気に構えていたのに、今度は、いつ終わるかわからなくなった中国との交渉を待たずして、日本との交渉を始めると言い出したのだ。
それだけならまだいい。
いまのトランプにとって、何一つ成果を出せない中で、日本との貿易交渉の成功は待ったなしだ。
中国はもとより、北朝鮮すら一筋縄ではいかなかった。
しかし、日本だけは脅せば何でも言う事を聞く。
当然ながら米国は日本に目一杯要求をぶつけ、満額回答を迫るだろう。
単なる農産品開放にとどまらず自動車開放要求は必至だ。
自動車関税にとどまらず数量規制を求めて来る事は必至だ。
それどころか為替条項を求めて来る。
プラザ合意の二の舞だ。
それだけではない。
中国への技術移転を阻止する様々な規制を日本に求めて来るだろう。
いわゆるココム、すなわち対共産圏貿易規制の中国版だ。
米中協議でまとまらなかった問題のツケを日本に押しつけて来る。
いまの安倍政権ではまともな対米交渉は出来ない。
安倍外交が窮地に立たされるのは日米経済交渉が始まる時である(了)
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